1月27日(土)~2月2日(金)までのラトビア情勢を解説とともにお伝えします。
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【今週のヘッドライン】
❖WBCクルーザー級王者、ブリエディス選手がウシク選手に敗れる
❖テニスのオスタペンコ選手がWTAランキングで6位に上昇
❖ラトビア国内でインフルエンザが大流行
❖1月の政党支持率の発表
❖2017年第4四半期の実質GDP成長率は4.2%(速報)
❖交通事故数が拡大
❖ルベサRB Rail社CEOの解任を求める動き
❖ロシア人五輪出場選手に関するIOCの決定が仲裁裁判所に一部覆される
【政治日程】
❖シェフチョビッチ欧州委員会副委員長(エネルギー連合担当)来訪(2月1日~2日)
❖ゴッテモラーNATO事務次長来訪(2月2日)
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❖WBCクルーザー級王者、ブリエディス選手がウシク選手に敗れる
1月27日、リガでボクシング・クルーザー級のWBC(世界ボクシング評議会)・WBO(世界ボクシング機構)統一タイトルマッチが行われ、WBC王者のブリエディス選手(ラトビア)はWBO王者のウシク選手(ウクライナ)に12回0-2で判定負けとなった。
ブリエディス選手は2017年4月にラトビアのボクサーとして初めてWBCクルーザー級王者となった人物。2009年にプロに転向してからも、(少なくとも2017年までは)リガ市警の警官を務めていた。今回の試合の直前の1月24日には、優れた功績などを讃えてベーヨニス大統領から最高位の国家勲章が授与されていた。
❖テニスのオスタペンコ選手がWTAランキングで6位に上昇
1月29日、最新のWTA(女子テニス協会)ランキングが発表され、ラトビアのエレナ(アリョナ)・オスタペンコ選手がシングルスで6位となり、自己記録を更新した。
オスタペンコ選手は2017年6月に行われた全仏オープンでラトビア人選手として初の四大大会(グランドスラム)優勝を成し遂げ、同年9月の韓国オープンでも初優勝を飾った、ラトビアの期待の星。12月には、ラトビアの優れたスポーツ選手に贈られる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」賞をNBAで活躍するラトビア人バスケットボールプレーヤー、ポルジンギス選手とともに受賞している。
❖ラトビア国内でインフルエンザが大流行
1月29日、疾病予防・管理センターは、ラトビア国内でインフルエンザの流行が始まったとして注意を呼びかけた。特に南東部ダウガウピルス市で患者が増加しており、1月第4週時点の同市の人口10万人あたりインフルエンザ患者数は117.9人(リガは20.6人)。季節性インフルエンザの流行時期が始まってからこれまでに全国で合計114人が入院しているが、このうち第4週に入院した患者数は49人(リガは36人)と流行が拡大している。
ラトビアでインフルエンザの予防接種を受ける人口の割合は例年1%未満で、EUの中でもかなり低い水準だそう。予防接種自体は外国人でも民間の診療所などで気軽に受けられる(有料)が、ラトビアの人々は政府が負担する無料もしくは小額の医療サービスを利用するのが普通で、そういったサービスは待機時間が長い(何時間とかではなく、予約がいっぱいで何日も待つようなこともある)ことからも、受ける人が少ないのかもしれない。
❖1月の政党支持率の発表
1月29日、民間調査会社SKDSが行った1月の政党支持率が発表された(「明日、選挙が行われるとしたらどの政党に投票するか」という問いに対する回答)。親ロシア系最大野党「調和」が引き続きの一番人気。与党3党の中では首相の所属政党「緑と農民連合」が最も高く、1月の支持率も前回調査から上昇した。一方、「統一」の支持率はここ数か月伸び悩んでおり、5%の足切りラインを突破できるか微妙なところ。現国会に議席のない政党の中では汚職対策などを掲げる「新保守党」が人気で、2017年6月のリガ市議会選挙でも単独で60議席中9議席を獲得していることから、国政選挙でも新たに議席を獲得できる可能性がある。
政党名 | 12月支持率 | 1月支持率 (単位:%) |
---|---|---|
調和(親露:野党) | 20.7 | 20.4 |
緑と農民連合(中道右派:連立与党) | 14.3 | 15.3 |
ナショナル・アライアンス(右派:連立与党) | 7.3 | 5.8 |
新保守党(国会に議席なし) | 3.0 | 4.1 |
ラトビア地域連合(中道:野党) | 3.6 | 2.5 |
統一(中道右派:連立与党) | 3.5 | 2.5 |
心からラトビアのために(右派:野党) | 1.8 | 1.0 |
KPV(国会に議席なし) | 1.5 | 2.0 |
Movement For!(17年8月に結成された新党) | 1.5 | 1.4 |
❖2017年第4四半期の実質GDP成長率は4.2%(速報)
1月30日、中央統計局は、2017第4四半期の実質GDP成長率(対前年同期比)は4.2%だったとの速報を発表した。対前期比成長率は0.3%だった。確報は2月28日に発表される。財務省は同日、2017年の成長率は4.5%程度と予測され、2011年以降で最も高くなる見込みだとのコメントを発表した。
❖交通事故数が拡大
1月31日の報道によると、2017年の交通事故件数は20,913件となり、前年から約1,300件(約6.8%)増加した。交通事故による負傷者数は3,889人(対前年比2.5%増)、死者数は136人(13.4%減)だった。
ちなみに人口10万人あたり死者数で見ると、日本の3.07人に対してラトビアは8.0人(どちらも2016年の統計)。ラトビアは一般的に運転が荒い人が多く(横断歩道を渡っていてもクラクションを鳴らして急かされたり、道路脇の水たまりの泥水を思い切りぶっかけられたことが多々ある)、天気の悪い日は接触・追突事故を度々見かける。ラトビアの運転手にとって黄色信号は「飛ばして突破する」のが基本なので、特に雨の日は車道から離れたところで信号待ちすることをオススメする。
❖ルベサRB Rail社CEOの解任を求める動き
2月1日の報道によると、レール・バルティカ計画のマネジメント企業・RB Rail社の株主であるバルト三国の鉄道関連会社のうち、エストニアとリトアニアの株主の代表がルベサRB Rail社CEOに対する不信任決議案に賛成票を投じ、解任を求めた。ラトビアの株主であるEiropas Dzelzcela Linijas(EDzL)社の代表は投票を棄権した。これに対してルベサCEOは2日付のRB Rail社プレス・リリースで、CEOを辞任する意向はないと表明した。
レール・バルティカ計画をめぐっては、これまでも鉄道ルートの選定などで揉めたことがあり、三か国の足並みが揃わないとEU基金が十分に獲得できない可能性もある。エストニアとリトアニアは3か国を調整する立場としてのルベサCEOの役割に不満を持っているようだが、ルベサCEO自身は「自分は株主や受益者が特定の利益を得られるようなことはしなかったため,やっかいなCEOであったことは承知している」と述べており、意見が対立している。本件は今後、政府レベルでも協議されそうだ。
❖ロシア人五輪出場選手に関するIOCの決定が仲裁裁判所に一部覆される
2月1日の報道によると、組織的なドーピング問題により2014年ソチ冬季五輪メダリストを含むロシア人選手28人を失格・永久追放処分するとのIOC(国際オリンピック委員会)の決定に関する裁判で、スポーツ仲裁裁判所はIOCの決定を一部覆す判決を下した。同判決では、一部の選手のみについて、ソチ五輪で獲得したメダルを剥奪することが適当であると判断された。
これにより、メルバールディス選手率いるラトビアのボブスレー男子チームは、4人乗りが銀メダルから金メダルに、2人乗りは4位から銅メダルにそれぞれ繰り上げられる見込みとなった。一方、スケルトン男子については、同種目で優勝したロシア人選手のメダルが維持されることとなったため、ラトビアのドゥクルス選手の金メダルへの繰り上げは実現しない見込みとなった。
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以上、今週のニュースをお伝えしました。次回は2月10日(土)以降に更新の予定です。
(リガ市内に張り巡らされているトロリー・バスの電線。寒い日は少しの移動でも交通機関を使いたくなります。)