週刊ラトビアニュース 3月3日(土)~3月9日(金)

33日(土)~39日(金)までのラトビア情勢を解説とともにお伝えします。

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【今週のヘッドライン】

❖「歌と踊りの祭典」メイン行事のチケットは発売後数時間で完売
ABLV銀行をめぐるその後の状況
❖ガス運搬・貯蔵会社Conexus社の株式取得価格は5,740万ユーロ
2017年の世帯あたり住宅関連コストは月額138ユーロ
❖ジュダノカ欧州議員が辞職、ミトロファノウス氏が代理に
❖銀行の資産額ランキングの発表
2月の消費者物価上昇率は1.8
❖リムシェービッチ・ラトビア中央銀行総裁をめぐる状況
2月の政党支持率
❖ラトビアの男女の賃金格差は17
KVVリエパーヤ・メタルーグス社の破産管財人、再認定試験に不合格

【政治日程】

❖リンケービッチ外相 訪米(34日~7日、5日にバルト三国外相+米国務長官会談)
❖クチンスキス首相 リトアニア訪問(39日~10日、バルト評議会のバルト三国首相会合出席)
❖ムールニエツェ国会議長 リトアニア訪問(311日、リトアニア独立回復記念行事・バルト三国+ポーランド国会議長会合出席)

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❖「歌と踊りの祭典」メイン行事のチケットは発売後数時間で完売

 3311時より、ラトビア全土の「Bilesu Paradize」社チケット売り場で「歌と踊りの祭典」のチケットの販売が開始された。前日から売り場前に並んでいたという強者もおり、一番人気の「歌の祭典」と「踊りの祭典」本番のチケットは発売後数時間で完売してしまった。チケットはインターネット上でも販売されたが、特設サイトの「バーチャル行列」でも数時間待ってようやくアクセスできるような状況だった。

 販売をめぐっては、一部のチケット売り場で発券済みのチケットを取り置いてもらって買っている人がいたり、大量に買い占めてその日のうちに法外な価格でネットで売っているような人がいる一方で、長時間並んでもチケットを買えなかった一般市民もおり、多くの人に不満が残る結果となった。住民によると5年前も同じような状況だったそうで、毎回何も改善されていないとのこと。チケット販売直後の今は「5年後はこういうシステムにすべきだ」という議論があるが、そのうち皆忘れてしまってまた同じことを繰り返すのではないかと心配だ。

 「歌と踊りの祭典」は1873年以来5年に1度開催されており、4万人以上の歌い手・踊り手が参加するというビッグイベント。ラトビア人のアイデンティティーの詰まったこの祭典はソ連占領下でも開催が許可されており、100年以上の歴史がある。2003年にはUNESCOの無形文化遺産にも登録された。今年はラトビア独立100周年の記念すべき年でもあるので、いつも以上に熱のこもった祭典になりそうだ。


ABLV銀行をめぐるその後の状況

 226日に清算手続開始が決定されたラトビアのABLV銀行。3月以降も以下の動きがある。

1)預金保険制度に基づく支払の開始
 33日、預金保険制度に基づくABLV銀行の顧客に対する保証金額(最大10万ユーロ)の支払が開始された。これに先立ち、2日、金融・資本市場委員会(FKTK)は、本保証金額の支払を当地のCitadele銀行に委託していた。

2ABLV銀行による任意清算計画の提出
 5日、ABLV銀行は、FKTKに対して任意清算計画を提出したと発表した。

3)米財務次官補の来訪
 8日~9日、ビリングスリー米国財務次官補(テロ資金対策担当)がラトビアを訪問し、レイズニエツェ=オゾラ財務大臣、リンケービッチ外相らと会談した。会談後オゾラ大臣は、「ビリングスリー次官補は詳細を明らかにしなかったものの、我々は、未だに複数の銀行が、制裁の対象となっている個人、企業及び国に関係する資金の取引に利用されていることを伝えられた。ラトビアと米国は、ラトビアの銀行が非居住者に提供するサービスの量を縮小しなければならないことで一致した。」と述べた。なお、議論の詳細な内容は報じられていない。

4ABLV銀行ルクセンブルク支店売却の許可
 9日の報道によると、ルクセンブルク商業裁判所はABLV銀行に対し、同行ルクセンブルク支店の売却を許可する決定を行った。裁判所はまた、今後6か月で投資家を選出するためとして外部からの管財人2名を指名した。


❖ガス運搬・貯蔵会社
Conexus社の株式取得価格は5,740万ユーロ

 35日、ラトビアの送電システムオペレーター会社Augstsprieguma TiklsAST)社のボクスCEOは、AST社が201712月にガス運搬・貯蔵会社Conexus Baltic GridCBG)社の株式34.36%を取得した際の支払価格は計5,740万ユーロであったと述べた。また、取得に際してはラトビア国庫庁から借入を行ったことも明らかにした。

 AST社はラトビア全土の送電システムの管理を担う国有会社(ラトビア財務省が株式の100%を保有)で、201712月、CBG社の株式を保有していたドイツのUniper Ruhrgas International社から18.31%、イテラ・ラトビア社から16.05%の株式をそれぞれ取得したことが報じられていた。なお、Uniper社とイテラ・ラトビア社にそれぞれいくら支払ったかは明らかにされていない。


2017年の世帯あたり住宅関連コストは月額138ユーロ

  35日、中央統計局は、2017年の世帯あたり平均の住宅関連コスト(家賃、光熱費、住宅の維持管理費等)は月額138ユーロとなり、前年から2ユーロ減少したと発表した。地方別ではリガが164ユーロと最も高く、最も少ないラトガレ地方(99ユーロ)との間に差が見られた。家族構成別では、未成年の子どもを持つ夫婦(世帯人員平均3.7人)の住宅関連コストは198ユーロで、子どものいない夫婦は133ユーロ、65歳未満の単身世帯は117ユーロ、65歳以上の単身は90ユーロだった。

 なお、可処分所得に占める住宅関連コストの割合は13.5%となり前年の14.0%から縮小した。この割合は2013年以降、毎年縮小している。

 ちなみにリガの「大使館エリア」と呼ばれる高級住宅街では、築100年のアパート(家族向け、約70平米)ですら共益費だけで既に100ユーロを超える。ラトビアでは賃貸住宅市場はあまり発展しておらず、地元住民はほとんどソ連時代からの持ち家があるため、このエリアは主に外国人への賃貸用だ。今回発表された統計で世帯あたり住宅関連コストが異様に低いのは、リガ中心部を離れると物価がかなり安くなるのと、ほとんどの住民が持ち家に住んでいて家賃がかからないためだと思われる。


ジュダノカ欧州議員が辞職、ミトロファノウス氏が代理に

 201810月の国政選挙に立候補するために辞任の意向を示していたジュダノカ欧州議員(国会に議席を持たない「ラトビア・ロシア連合」共同党首)は、35日付で正式に辞職し、ジュダノカ氏と同じ政党所属のミトロファノウス氏が代理の議員となった。


銀行の資産額ランキングの発表

 37日、ラトビア商業銀行協会は2017年末時点の銀行の資産額ランキングを発表。1位はスウェーデン系Swedbank53億ユーロ)、2位はスカンジナビア系Luminor銀行(49億ユーロ)、3位はスウェーデン系SEB銀行(37億ユーロ)と北欧の銀行が上位を占めた。Luminor銀行はノルウェー系DNB銀行とスウェーデン系Nordea銀行の合併により201710月に開設された銀行。4位以降は、任意清算手続開始を発表したABLV銀行(37億ユーロ)、Rietumu銀行(31億ユーロ)、Citadele銀行(27億ユーロ)と地元の銀行が続いた。


2月の消費者物価上昇率は1.8

 38日、中央統計局は、20182月の消費者物価上昇率は対前年同月比1.8%だったと発表した(物品価格は1.1%上昇、サービス価格は3.6%上昇)。過去12か月間の平均物価上昇率は2.7%だった。部門別では、住宅関連(対前年同期比2.4%上昇)、運輸(2.5%)、食品(1.2%)などで物価の上昇がみられた。なお、食品のうち生鮮野菜の価格は19.2%下落したが、これは今年1月から一部の野菜・果物類に対する付加価値税(VAT)が21%から5%に引き下げられたことが一因と思われる。


リムシェービッチ・ラトビア中央銀行総裁をめぐる状況

 217日に汚職容疑で拘束され、19日に保釈されたリムシェービッチ・ラトビア中央銀行総裁をめぐって3月以降も以下の通り動きがある。

1ECB政策理事会での職務遂行禁止
 38日の報道によると、汚職容疑での捜査期間中ラトビア中央銀行総裁を務めることが禁止されているリムシェービッチ氏は、ECB政策理事会における職務の遂行も禁止された。これに対してリムシェービッチ氏は、欧州連合司法裁判所(CJEU)に不服を申し立てる意向を示している。

2)リムシェービッチ総裁の解任決議案の採択
 38日、国会は、リムシェービッチ総裁に解任を求める決議案を可決した。ただし、現行法上、国会は中央銀行総裁自身の希望または有罪判決が下された場合にのみ総裁を解任することができるため、本決議案の可決により総裁が自動的に解任されるわけではない。リムシェービッチ氏は、本決議案は同人とECBに対する政治的圧力であるとし、解任する意向はないと表明した。

3ECB政策理事会がCJEUに説明を求める
 38日、ドラギECB総裁は、ラトビア当局によりリムシェービッチ総裁に課された個別の措置は、同人の職務遂行を禁止する効力があるのか、またこれらの措置はEU法に合致しているのかという点に関し、ECB政策理事会はCJEUに状況説明を求めることを決定したと述べた。


2月の政党支持率

3月8日、民間調査会社SKDSが行った2月の政党支持率が発表された(「明日、選挙が行われるとしたらどの政党に投票するか」という問いに対する回答)。トップ3は不変で、順に親露系最大野党「調和」、クチンスキス首相の所属政党「緑と農民連合」、右派与党「ナショナル・アライアンス」となった。先日国会議員団が消滅した野党「心からラトビアのために」と、2017年8月に結成された新党「Movement For!」は、支持者があまりにも少なかったのかニュースで取り上げられた世論調査結果には含まれていなかった。

政党名1月支持率2月支持率
(単位:%)
調和(親露:野党)20.421.2
緑と農民連合(中道右派:連立与党)15.314.5
ナショナル・アライアンス(右派:連立与党)5.87.8
統一(中道右派:連立与党)2.54.6
新保守党(国会に議席なし)4.14.1
ラトビア地域連合(中道:野党)2.52.1
KPV(国会に議席なし)2.01.9

❖ラトビアの男女の賃金格差は17

 38日の国際女性デーにちなんで7日に欧州統計局(Eurostat)が発表した2016年の男女の賃金格差に関する統計によると、ラトビアの男女間の賃金格差は17.0%(男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は83)であり、EU平均の16.2%をわずかに上回っていた。ルーマニア(5.2%)、イタリア(5.3%)、ルクセンブルク(5.5%)などで格差が小さく、エストニア(25.3%)、チェコ(21.8%)、ドイツ(21.5%)などで格差が大きかった。

 ラトビアでは38日と言えば「男性から女性に花束やプレゼントを贈る日」というイメージが定着しており、町中で花束を抱えた人を見かける。1年で最も生花が売れる日で、値段もつり上がるのだとか。ちなみにラトビアで花を贈るときは偶数本にすることが重要だ。奇数だと2つに割れる=別れを意味するため、葬儀のときに持って行く花束になってしまうとのこと。


KVVリエパーヤ・メタルーグス社の破産管財人、再認定試験に不合格

 39日の報道によると、20169月に破産手続が開始された製鉄会社KVVリエパーヤ・メタルーグス(KVV L/M)社破産管財人のコリス氏は、破産管財人の再認定試験に合格できず、31日付で資格を失ったことが明らかになった。リエパーヤの裁判所は、321日にKVV L/M社の新しい破産管財人の任命手続を開始する見込みとなっている。

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以上、今週のニュースをお伝えしました。次回は317日(土)以降に更新の予定です。

(まだまだ運河が凍っているリガ市内では、長時間外にいるのはなかなかつらいです。)

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