週刊ラトビアニュース 2月17日(土)~2月23日(金)

217日(土)~223日(金)までのラトビア情勢を解説とともにお伝えします。

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【今週のヘッドライン】
❖リムシェービッチ・ラトビア中銀総裁が汚職容疑で一時拘束
❖当地ABLV銀行をめぐるその後の動き
❖林業関連の輸出が好調
❖政府は外国人労働者の受入れに関する規則を閣議決定
❖格付機関S&Pグローバルがラトビアの格付を据置き
❖腐敗認識指数ランキングでラトビアは40
2017年の労働力調査結果の発表
❖ロシアの「マグニツキー事件」関係者49名に入国禁止措置を導入
【政治日程】
❖ブシャティ・アルバニア欧州・外務大臣来訪(221日、リンケービッチ外相と会談)
❖サリバン米国務副長官来訪(222日、ベーヨニス大統領及びリンケービッチ外相と会談)
❖クチンスキス首相 ブリュッセル訪問(223日、非公式欧州理事会出席)

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リムシェービッチ・ラトビア中銀総裁が汚職容疑で一時拘束

 217日、少なくとも10万ユーロの賄賂を要求・受領した疑いでリムシェービッチ・ラトビア中央銀行総裁が拘束され、19日に保釈された。これに先立ち、16日に汚職防止・摘発委員会(KNAB)は同総裁の自宅と中央銀行の執務室の捜索を行っていた。KNAB18日に本件に関する刑事手続が開始されたことを明らかにした。

 2月20日の報道によると、KNABはリムシェービッチ総裁に対してラトビアからの出国とラトビア中銀総裁としての職務遂行を禁止した。ラトビア政府関係者の一部は、国のレピュテーションに悪影響を与えないよう同総裁は捜査の期間中だけでも辞任すべきだと述べているが、リムシェービッチ総裁は、自分は無実であり辞任するつもりはないと主張している。

 

当地ABLV銀行をめぐるその後の動き

 2月13日に米金融当局がマネーロンダリング関連で制裁導入を提案したことで話題となっているABLV銀行を巡っては、今週もめまぐるしく状況が進展している。

 2月19日、ラトビア金融・資本市場委員会(FKTK)は、欧州中央銀行(ECB)の指示に従いABLV銀行に対してモラトリアムを課し、19日付で同行の全ての支払を一時的に停止した。同日、ABLV銀行は状況の安定化のためラトビア中央銀行に48千万ユーロの借入を求めたのに対し、中央銀行は9,750万ユーロの借入を認めた。その後、中央銀行は23日までにさらに1億9,970万ユーロをABLV銀行に貸し出した。

 23日、ECBは、ABLV銀行は流動性の著しい悪化により支払期限が来た債務または他の負債の支払を行えない見込みであるとして、清算手続が行われることとなったと発表した。同日、FKTKは預金停止を決定した。

 なお、ラトビア政府はABLV銀行とリムシェービッチ・中銀総裁をめぐる状況について頻繁にプレス・リリースを発出し、ラトビアの金融システムに問題はない、ABLV銀行の話とリムシェービッチ総裁の話は関連していないと強調している。

 

林業関連の輸出が好調

 220日の報道によると、2017年の林業関連製品の輸出額は前年から6%増加し222千万ユーロとなった(ラトビアの輸出全体の19.5%に相当)。主な輸出先は英国(対英輸出額は林業関連輸出全体の17.2%を占める)、エストニア(10.9%)、ドイツ(9.8%)など。このうち、材木関連製品の輸出額は18億8千万ユーロと対前年比5.7%拡大した。ちなみに、ラトビアから日本への材木関連製品の輸出額は2,366万ユーロで対日輸出全体の51%相当だった。

 この統計でもわかる通り、材木・家具等の林業関連製品はラトビアの主要輸出産品で、英国はラトビアにとって重要な輸出相手国。Brexit関連交渉では、ラトビアが好条件で英国に輸出できなくなっては困るとして、ラトビア政府は英国・EU間の関税の問題を明確化したいと主張しているのをよく目にする。

  

政府は外国人労働者の受入れに関する規則を閣議決定

 220日、政府は、熟練労働者の受入れに関する規則を閣議決定した。同規則では、労働力が不足している237の職業・専門家がリスト化され、このリストに該当する外国人熟練労働者を第三国から受け入れる際、労働許可証の発給条件が簡素化されることなどが定められている。該当する職業は、IT専門家、電気技術者、金融アナリスト、パイロットなど。

 非EU市民である日本人が自力でラトビアの滞在許可を取るのはなかなか難しい。就労ビザの関係で会計士に相談した際も、ラトビアでは毎年税制が変わるため、会計事務所でさえもどうすれば一番コストを削減できるか見極めて経営計画を立てている間に年を越してしまうという冗談を言っていた。ラトビアで働いている日本人は数えるほどしかいないので、この新規則で少しでも日本人が就労しやすくなると良いのだが。

 

格付機関S&Pグローバルがラトビアの格付を据置き

 222日、格付機関S&Pグローバルは、ラトビアの長期ソブリン格付を、自国通貨・外貨建てともに「A-」に据え置くと発表した。見通しは「ポジティブ」に維持した。S&Pは、ABLV銀行に関連したラトビアの直接的な財政リスクは大きくなく、非居住者サービスに重点を置くその他一部の国内銀行に否定的な影響を与える可能性はあるものの、ラトビア経済に及ぼし得る影響は限定的であるとコメントしている。

 ちなみにラトビア財務省はこのニュースをうってつけの材料にして、ABLV銀行を巡る厳しい状況の中でもラトビアの金融システムの安定性が評価された、みたいなプレス・リリースを出していた。

 

腐敗認識指数ランキングでラトビアは40

 221日、トランスペアレンシー・インターナショナルによる2017年版の腐敗認識指数ランキングが発表され、ラトビアは世界180か国・地域中40位となった。前年から4ランクアップしたが、スコア(100点満点中58点)は昨年から1点アップにとどまった。1位はニュージーランド、最下位は11年連続でソマリアだった(日本は20位)。バルト三国では、エストニアが21位(71点)、リトアニアは38位(59点)となっている。同NGOラトビア事務所「Delna」のガーテレ所長代行は、ラトビアは2020年までには少なくともエストニアが今回達成した70点まで到達すべきだと述べている。

 

2017年の労働力調査結果の発表

 2月22日、中央統計局は2017年の労働力調査結果を発表した。これによると、1574歳の就業人口は894,800人(対前年比1,500人増)、就業率は62.9%(1.3ポイント上昇)だった。また、1574歳の失業者数は8万5,400人(9,900人減)、失業率は8.7%(0.9ポイント低下)だった。ラトビアの人口は再独立以来一貫して減少している一方で就業人口が増えたのはポジティブな要素だ。

 また、同時に発表された労働者の手取り月給の分布は、450ユーロ以下の労働者が全体の39.2%を占め(対前年比4.9ポイント減)、450.01700ユーロ:32.4%、700.011,400ユーロ:20.2%、1,400.01ユーロ以上:3.4%という結果だった。

 

ロシアの「マグニツキー事件」関係者49名に入国禁止措置を導入

 222日、リンケービッチ外相は、ロシアのマグニツキー事件(ロシア政府関係者の大規模な汚職事件を暴いたセルゲイ・マグニツキー弁護士がロシア当局により不当に逮捕され、暴行・拷問を受けた後に2009年に拘置所内で死亡したとされる事件)の関係者49名のラトビアへの入国を禁止した。これに先立ち、28日にラトビア国会はマグニツキー事件の関係者に制裁を科すことを政府に求める決議案を可決していた。これで全バルト三国がマグニツキー事件関連の法律や規則を制定して対応したことになった。


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以上、今週のニュースをお伝えしました。次回は33日(土)以降に更新の予定です。

(リガ旧市街にあるラトビア中央銀行。ロシア帝国時代に建てられたので正面に「双頭の鷲」の装飾があります。)

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